天国のKくんといっしょに……

姉です。たくさんの温かいコメント、ありがとうございました。涙が出ます。
みちこも喜んでいると思います。

みちこに、「Kくんと並んだ私を描いて」と頼まれ、大きな絵はみちこの写真の横に飾りました。
「ブログ用の絵も描いて」ということで、後ろ姿ですがふたりを描きました。つたない絵ですが……。

なぜか母と私には、みちこが旅立った直後、にこにこ笑ったみちこが走って光の中へ消えていく様子が感じられました。みちこはKくんのところへまっすぐ昇っていったのだとふたりで話しました。

このブログはこれで終わります。ありがとうございました。





mico&k

Kくんの想い出

Kくんの話をお姉ちゃんにしたくなって、DVDをそこそこにしながら、しゃべっていた。

指のむくみも今はとれたので、指輪は薬指にはめている。ながめたり、頬ずりしたりしている。

病院で、Kくんと撮った写真や、Kくんにもらった何枚かの写真をお姉ちゃんに見せて、親切にしてもらったことや、はげましてもらったこと、たくさんのことを話した。

「Kくんに出逢えてよかった。悲しいことになっちゃったけど、Kくんがいてくれたからがんばれた」

あらためてそう思った。Kくんは、さいごはとても苦しそうだった。それでも耐えてがんばっていた。だから私もがんばらなくちゃ。

お姉ちゃんはだまって聴いていてくれた。こんな話、お母さんには言えない。

「よかったね、指輪もらえて。写真も、こんなにたくさん」と、お姉ちゃんが私の指をさすった。

「うん」

いろいろ思い出しちゃって、ぽろぽろ涙が出たけれど、Kくんの話は話しておきたい。

話していたら、お姉ちゃんが、実はKくんのお姉さんから電話をもらったんだよ、と言った。
Kくんが、私とおつきあいするようになってから、とても明るくなって、病状もすごく良くなったんだって。病院で彼女ができた、でも不幸にするかも、と悩んでいたという話も。

Kくん、ほんとに私のこと大事に思ってくれていたんだね…。意識がもうろうとしていたころ、「みちこ、みちこ」って呼んでいたって。

だから、あの時、私の前にぶわっときらきらした風が通ったんだね。

千の風になって、の詩はほんとうかもしれない。

去年入院してすぐ、ロビーで手書きの「千の風になって」の詩が書いてあるノートを見つけた。その時はなんで病院に?と思ったけど、ぽつぽつと患者仲間が天に召されるのを見ているうちに、ああこれは読んでいてよかったなあと思えた。

Kくんは今この部屋に来ているかもしれないね。

お姉ちゃんにみんな話してよかった。

私は今でもKくんが好き。大好き。ずっと、大好き。


Kくんが天に召された…

Kくんが、今日の12時に天に召された。病棟がざわついて、すぐにわかった。Rくんが30分くらいして、教えに来てくれた。

Kくん……。

今朝から私の腰の痛さは尋常ではなかった。腰から脚、背中まで絞め殺されるんじゃないかというくらいの激痛で、痛み止めも効かなかった。

その痛みが、12時少し前、すうっと消えた。直後、私の前を白い光がかけぬけたように見えた。こんなことははじめてだった。

あの光はKくんだったんだ……。

Kくんの痛みが、私につながっていたのだろうか。今、全然痛くないよ。Kくんももう痛くないんだね。

Kくんは、私に「たぶんぼくが先に逝くけど、かなしまないで」と言っていた。

「ぼくは、体から自由になるんだ。そうしたら、天国へはすぐに逝かないよ。みちこのそばにいる。みちこをずっと見守るから」

かなしいよ、Kくん。Rくんが、目を真っ赤にして部屋に現れた時、すぐわかった。Rくんはすごくつらそうだった。Rくんは無言のまま近づいてきて、メモを渡した。

口で言えなかったんだ。メモに、「Kくんが、12:00に天に召された」と書いてあった。

それから、ずっと泣きながらメールしたり、さっきはがんばって電話のところまで車椅子で行って、お姉ちゃんを呼び出したりした。お姉ちゃんは今朝からインフルエンザで寝込んでいて、電話に出られなかった。

ここに、こんなに早くこのことを書く日が来てしまうなんて。

Kくんと、どちらかが早く天に召されても、泣かないと約束をしたけど、守れないよ。お互い見守り合うから、ずっといっしょだから、病気と闘い続けるんだ、と誓い合った。

私は闘うよ。でも、でも、Kくん………

Kくんは私のすべてだった。ほんとうに、Kくんと逢えてよかった。ありがとうKくん。

永遠に私たちはいっしょだよ。
 

Kくんのお姉さん

いきなりKくんのお姉さんが私の部屋にやってきて、びっくりした。

「Kからいろいろきいています。いつもKにありがとうございます」と頭を下げた。私も緊張しながら礼をした。

Kくんの容態は、よくないけど、大丈夫だから安心してくださいね、と言われてほっとする。でもしばらく容態が安定するまで泊まり込むそうだ。

「Kからあずかってきました」と、カエルのぬいぐるみを渡してくれた。

「Kがみちこさんになにかプレゼントしたいと言うので私が選んでいたものです。渡すのが遅れてしまいました」

ぬいぐるみには小さなカードがついていて、Kくんの字で「みちこへ」と書いてあった。

それじゃあ、また来ます、とお姉さんは去って行った。

ぬいぐるみを抱きしめた。Kくん、なんでカエルなの?それもとぼけた表情の。すごくKくんらしくて笑った。いっしょに涙も出た。私を笑わせるつもりでお姉さんにひょうきんな顔のぬいぐるみを頼んでいたという。

少し元気が出た。腰の痛いのも飛んだ気がした。Kくんは今とってもがんばって闘っている。私もがんばらなければ。

お姉さんはとてもやさしそうな人だ。どうかKくんがよくなりますように。


Kくんのところへ

この病棟では、手術や治療が終わり、動けるようになると、患者みんなの部屋を回る習慣がある。それは表面的なものではなく、心から「元気になったよ!ありがとう!」を伝えに行くためだ。

今日私は車椅子で各部屋を回った。自分でもお菓子を持っていったけど、みんなもお菓子をくれて、ひざの上はお菓子だらけになった。ありがとう、ありがとう、と言って回った。

腰は痛いけど、ほかの子もみんなどこか痛みをかかえている。それでも笑うんだ。私もニコニコ笑って話をしてきた。

Kくんのところ。まず最初に行きたかったくらいだ。Hくんがいたので、容態をきくと、よくないという。でも、みちこが来たよ、とHくんがKくんに言ったら、うつらうつらしていたのが目を開けたという。

私はHくんに車椅子を押してもらい、Kくんのベッドの横についた。

Kくん、ムーンフェイスになっていた。手もむくんでいる。顔色もかなり悪い。

指もむくんで指輪ができなくなっていて、ひもで手首にくくりつけていた。

私が声をかけると、Kくんは手を伸ばし、私の手を握った。私も握り返した。

Kくんはもうしゃべれないし、絵を描くこともできない。食べることもできなくなっているという。点滴が何本もつながれている。

でも私の顔を見て、「み、ち、こ」と言ってくれた気がした。くちびるが動いた。

「Kくん、Kくん」と私も名前を呼んだ。Kくんは涙をためて、うなずいた。

長くそばにはいられないくらいつらそうだった。私は手術の報告をして、またいっしょに話そうね、と言った。涙が出た。泣いちゃいけないと思ったのに。

Kくんの手首の指輪が揺れて、きらきらした。私はKくんの手をさすった。

Kくんに、お姉ちゃんが買ってくれたお守りを渡した。私とおそろいのお守り。Kくんはそれを受け取ると、胸にあてた。

自分の部屋まではHくんがずっと励ましてくれて、車椅子を押してくれた。

ありがとうHくん、そして、Kくんがもう一度声を出して話せますように。絵が描けますように……。

Kくんが来てくれた

今日は午前中は胸のCT。

午後、本を読んでいたら、いきなりストレッチャーに乗ってKくんが来てくれた。

びっくりした。自分も酸素マスクをするほど苦しいのに、看護師さんに頼んで、私のところに来てくれたんだ。

スケッチブックを広げて、「がんばれ!みちこ!」と書いてあるページを見せてくれた。書くのもたいへんだっただろうに…。看護師さんが、そのページを私にくれた。

ありがとう、ありがとう、と何回も言った。がんばるから、と言った。

看護師さんはKくんのストレッチャーを私のベッドの横につけてくれた。

手を握りあった。Kくんの手はすごく白く細くなってしまってまた心配になったけど、力強く握ってくれた。

涙が出そうになったけど、泣いちゃいけないとぐっとがまんして笑った。

私が笑ったら、Kくんも笑った。

ほんの何分かの面会だったけど、Kくんは帰っていった。わざわざ来てくれたのがすごくうれしい。

これから、またKくんに長い手紙を書こうと思う。

明日は手術の準備の日。いろいろと忙しそうだ。

Kくんへ

Kくんにブランケットを編むことにした。
急いで仕上げる。

そんなに大きくないけど、布団の上にかけられるものを。
今ある毛糸でけっこういい色のが編めそう。

これから編みはじめて、今夜には仕上げて持って行きたい。

祈りをこめて。

Kくんが起きられない

Kくんが起き上がれなくなってしまった。

2〜3日具合が悪いくらいかなと思っていたら、もう立って歩くことができないという。

今日は酸素マスクをつけたままで、私の問いかけに、メモ帳の切れ端で筆談で答えた。これからはそうなるという。苦しくて、しゃべれないんだ……。

Kくんといっしょに歩けない。ロビーでお話ができない。Kくんの前で泣いてしまった。

どちらかが先に具合が悪くなっていくとお互い覚悟はしていたけど、こんなに早く悪くなるなんて。

昨日はショックでパソコン部屋に来られなかった。

自分の検査結果もあまりよくない。自暴自棄になる気持ちもおこったけど、がんばって苦痛に耐えているKくんの姿を見て、こんなことでめげちゃいけないと思った。
私は近いうち肺の手術だ。でも、手術しても、とりきれないと言われた。

あとは放射線しかないと。

私も先が長くないかなあ……。

でも、Kくんのことのほうが気になる。

今日これからも、たくさん手紙を書く。

Kくんと同じなんだろうか

肺の手術をするかもしれないと、Kくんと話していた。手術できるうちはまだいいんだよ、とのことだ。そうだよね。

Kくんは今は放射線治療のみだ。抗ガン剤をすると、副作用で体力をなくすので、できない。

年を越せるかわからないんだよ、と言われた。そんなに悪くなっているなんて。Kくんとの話も、今まではロビーとかに出てしていたけど、もうそれもきついので、Kくんの部屋に私が行く。洗面とトイレくらいしか歩けないそうだ。

もう11月もなかばでしょう?それなのに、年を越せるかわからないなんて。私たち、いつまでこうして話していられるだろう。

この病院は盛大なクリスマスパーティを毎年している。その様子も写真がたくさん飾ってあり、どんなのかだいたいわかる。みんなで歌をうたったり、ドクターがサンタの仮装をして各部屋を回ってお菓子をプレゼントしたりするらしい。もちろん食事にはケーキなどのごちそうが出るそうだ。

楽しみにしていたけど、Kくんの具合をみていると、クリスマスどころじゃない気がする。私も、いつ手術になるかわからないし、ドクターから近いうち詳しい検査結果を説明してもらえるのだけど、なんだかいい話はきけないようだ。

この病院に来なかったら出逢えなかった私たちだけど、もう少し早く出逢いたかった。
ふたりして、東京のあちこちをデートするふつうのカップルになれたらよかったのに。
Kくんは美大に通い、私はデパートに勤める。毎日メールの交換をして、食事したり、映画を観たり、ショッピングしたり。

みんな夢になってしまうのかな。

飲み会にももう出られないって。

Kくんは今日もすべてを忘れるように絵を描いていた。

私も、体力が弱っているから外出は禁止された。

抗ガン剤の予定もたたないらしい。肺の病巣のほか、どうも腰にふたたびガンができてきたみたいだ。痛い。呼吸は正常だけど、腰はずっと痛みが消えない。それどころか、日に日に痛みが強くなっているようだ。

Kくんが、ごめんな、とあやまった。なにをあやまるの?涙が出た。

ずっと一緒にいたいのに。


Kくんとお話

今日は男子部屋に行ってみたら、Kくんのカーテンが開いていたので、おそるおそる近付いた。Kくんはすごく顔色が悪かったけど、私を見ると、笑って、手をふってくれた。

椅子に座って話す。Kくんは横になったままだ。

kくんが布団をぱらっとめくって、お腹を見せた。なんだかお腹がごつごつしてみえる。びっくりしていると、

「腹に腫瘍ができちゃった。肺のが腹にも、ほかにも、あちこちに転移しまくったんだよ…」とちょっと笑いながら言った。

「でも、だいじょうぶだよ。手と目にこなければいいんだ。絵さえ描ければいい」

Kくんは小さなスケッチブックを見せてくれた。

りんごとか、バナナとか、お見舞いの品のスケッチがたくさんあった。私の顔の絵もあった。そっくりでびっくりした。

「抗ガン剤があまり効かないんだよね…。放射線で叩くらしいけど。あまり、先が明るくない」

なんて言っていいかわからなかった。急にこんなに悪くなっているなんて。

「私も、肺転移してるみたいなんだよね…」とつい言ってしまった。

ふたりでだまってしばらくお互いをみつめていたと思う。

「泣いちゃだめだからね」Kくんが言った。

「がんばろう。がんばるしかないよ」Kくんが何度も言った。

それから、絵の話になった。好きな画家のこと、美術館のこと、私にもたくさんいい絵をみるといいよ、と画家の名前をいくつもあげた。

Kくんはほんとに絵が好きなんだ。
ほんとに、いつまでも絵を描いていてほしい。

自分の部屋に戻ってから、泣けてきた。

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